内閣府が実施した「終末期の療養場所に 関する調査」によると、国民の60%以上が自宅で療養することを望んでいるそうです。また、「要介護の状態になっても自宅や子ども・親族の家での介護を希望している人が4割を超えている」ということも分かっています。
しかし現実的には、在宅医療と同様に家族の負担が大きく、住まいをバリアフリーにする必要性などもあり、たくさんの問題があります。

精神的・時間的・肉体的…3つの負担が大きい在宅介護

実際に在宅介護経験者が実感した苦労の中で、5割以上の方が上げているのが、「精神的」「時間的」「肉体的」といった3種類の負担でした。

精神的な負担はどのようなもの?

  • ずっと面倒を見る必要があるので、自分のことが後回しになってしまい、何もできず気が滅入ってしまう
  • 物忘れが激しく、数分前に言ったことを何度も繰り返し言ってくるので、そのたびに返事をするのが苦痛になった

などの苦労を感じる方が多くいらっしゃいます。

時間的な負担は仕事もしている方が特に感じやすい

自宅で介護をしていると、

  • 24時間営業のコンビニで、休み無しに働くってこんな感じかも
  • 自分の時間と唯一言えたのが、寝ているとき
  • 仕事にならない

といったこと感じる瞬間が多いのです。仕事をしながら介護もしている場合、頻繁に仕事を抜けなければなりません。
その結果、会社から退職を勧められたというケースも存在するそうです。

溜まりやすい肉体的な負担

介護をしていると、要介護者の方を持ち上げたり、支えたりする際の肉体的な負担が大きくなります。

  • 自分よりも重いので、とても持ち上げられない
  • 腰痛がひどくなって、トイレやお風呂の世話ができなくなった
  • 肉体的な疲労が蓄積した結果、数週間入院した

上記のようなケースが多くあります。
たとえ身体が小さく細い高齢者でも、持ち上げるとなると大の大人2人がかりでやっとだった、という体験談もあります。
介護者よりも身体が大きければ、とても1人では支えきれないでしょう。

最近では「老老介護」という言葉もよく聞きます。高齢者が高齢者の介護をするともなれば、その負担は相当なものと言えるのではないでしょうか。

負担の軽減に介護保険を利用した介護サービスを

介護保険
介護による負担を少しでも軽減できるように、介護保険を利用した様々な介護サービスがあります。

  • ヘルパーに介護や家事の一部を手伝ってもらう「訪問介護サービス」
  • 短時間だけ介護施設に通う「デイサービス」
  • 短期間の介護施設での宿泊「ショートステイ」

などが主な在宅介護サービスです。
いずれもケアプランをケアマネージャーに作成してもらい、手続きをすれば、1割もしくは2割の自己負担でサービスを受けることができます。

そのような中でも、「住み慣れた地域で十分な介護や医療サービスを受ける」仕組みの必要性が高まっています。

高齢者1人を若者1人で支える?2025年問題を解決するために

2025年には、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となり、「65歳以上の高齢者1人を若者1.8人で支えることになる」と想定されています。
更に2050年になると、「1人の高齢者を1人の若者で支える状態」となるそうです。これが、いわゆる2025年問題と呼ばれるものです。

保険サービスをひとまとめにした「地域包括ケアシステム」で解決を狙う

これを克服するためには、今までバラバラに提供されていた

  • 介護保険サービス
  • 医療保険サービス
  • 住民の保障と低所得者への支援

などをまとめて提供する必要があります。それを可能にしようというのが、「地域包括ケアシステム」なのです。
具体的に言うと、2025年までに「高齢者が要介護状態となっても、住み慣れた場所で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、医療や介護、生活支援などを一体的に提供するシステム」を確立させる、ということです。

地域包括ケアシステムは、市区町村が主体となって「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」の体制を包括的に整備していくものです。
ケアの場を施設から在宅へと変えていこう、という考えに基づいて設計されています。

高齢者を支えるには介護と医療の連携が大切!

特に介護と医療の連携が強く求められていますが、「介護と医療は別物」という認識が根強いのが現状です。
双方のスタッフが意見を出し合ってケア方針を決めていくことが重要なのですが、この連携がまだ上手くいっていないケースが多いようです。
また、市区町村主体ということで、地域によるサービスの格差を心配する声もあるようです。

とはいえ、政府や関係機関では新たな法整備や体制づくりも進んでいます。
最も大切なのは要介護・要支援高齢者をどのように支えていくのか、ということです。
これからどんどん連携を深めていき、2025年問題を総合的に解決してくことが期待されます。

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