音楽療法は認知症にもよい影響を与える

幅広く楽しまれている音楽ですが、「音楽療法」という言葉を聞いたことはありませんか?
大きく分けると「歌唱・演奏をする能動的音楽療法」と、「音楽を聴いてリラックスする受動的音楽療法」があります。

「音楽療法」は、認知症、発達障がいや精神障がい・身体障がい、喘息、引きこもり児童のケア、加齢に伴う慢性疾患、脳卒中の後遺症、さらには緩和ケアや終末期医療に対しても行われているんです。

主に病状の緩和が目的ですが、「音楽を聴いて気分を盛り上げる」これも「音楽療法」の一種です。
リラックス効果があり脳の活性化にも繋がる音楽は、ストレスの解消にもってこいですよね。

音楽を聴いていた頃の記憶が蘇る

その音楽を聴いていた頃の印象が強ければ強いほど、蘇る記憶は鮮明になります。
「ずっと目を瞑っていて、もう話すことも出来ない、意識がなくなってしまった。」

しかし、聴覚だけは最後まで残っているといわれているんです。
「寝たきりで反応があまりなくなってしまった方に音楽を聞かせてあげると良い反応を示し、次第に思い出話を始めた」という例もあります。

認知症にも効果があるという説に注目

認知症患者も同じで、何十年経過していたとしても、幼少期や青春時代に聴いた音楽はずっと覚えています。
認知症の主な症状は、短期記憶が失われていく事。言い換えれば、長期記憶・超長期記憶は残っていることが多いんです。

昔聴いた音楽はこの長期記憶・超長期記憶に含まれるので、
最近では予防するだけでなく治療にも効果があるのではと注目されています。

すっかり反応の少なくなってしまったご家族が、音楽によってまた楽しむことができたら……とても嬉しいことですよね。

重度の認知症患者の方への効果は今のところ報告されていませんが、試す価値はありそうです。
好きだった音楽を聞かせてあげることで、反応はなかったとしても、きっと穏やかな気持ちになってもらえる事でしょう。

反対に、辛い記憶を呼び起こしてしまうことも

「音楽療法」は、実は悪影響を及ぼす危険もあるんです。
その音楽が辛い思い出になってしまっている場合ですね。
戦時中のことや辛かった記憶など、思い出したくなかった記憶まで呼び起こしてしまい逆効果になってしまうこともあるので選曲には注意が必要です。

まだお話できる場合は予めコミュニケーションをとっておくなどして、こちらの思い込みで好きではない音楽を無理に聞かせてしまったりしないようにしましょうね。

秋川雅史からAKB48まで、J-POPも人気

音楽を楽しむ老人
高齢者といっても、世代は様々ですよね。

それに年齢は音楽の好みとは直接の関係はありませんし、新しい音楽を好む方は最新JーPOPに興味を示されることも多いですよ。

若い人、お孫さんなどと一緒に、アイドルのコンサートに出かける高齢者もいるようです。
興味を持ってもらえそうなら、ゆったりとしたテンポの流行曲から試してみても良いかもしれませんね。
新境地を切り開いていくことは、脳への良い刺激にもなります。

新しい音楽やJ-POPで人気なのは、

千の風になって 秋川雅史
世界に一つだけの花 SMAP
夜空のムコウ SMAP
365日の紙飛行機 AKB48

など比較的新しく、「若者向け」と思われるものを好きな高齢者も多いのです。
ほかにも「嵐」や「コブクロ」といった知名度が高い歌手が好まれる傾向にあるようですよ。

余談ですが、我が家の高齢者は「湘南の風」が好きなので、高齢者の音楽は一言では語り切れないほどのジャンルの幅がありますね。

明るい印象の曲が多い歌謡曲、フォークソング

とはいえ、やっぱり不動の人気は演歌や昭和の半ばごろまでに流行していた歌謡曲ですね。
年月を経ても色あせず、いつの時代にも溶け込むこれらの音楽は高齢者に好まれます。

「歌謡曲」と一言では表せないそのジャンルの幅広さも魅力で、初恋の頃・新婚時代・お子様の誕生・幸せな出来事の近くに、いつもあったのです。

高齢者に人気の歌謡曲は、

高校三年生 舟木一夫
青い山脈 藤山一郎、奈良光枝
君の名は 織井茂子
リンゴ追分 美空ひばり
高原列車は行く 岡本敦郎
東京ブギウギ 笠置シヅ子
君といつまでも 加山雄三

などがあり、フォークソングでは、

バラが咲いた マイク真木
あの素晴らしい愛をもう一度 加藤和彦、北山修
結婚しようよ よしだたくろう
翼をください 赤い鳥
神田川 南こうせつとかぐや姫
心の旅 チューリップ
この広い野原いっぱい 森山良子

と、どちらかといえば、明るい印象の曲が多いですね。

年代の違う私達が聴いても、違和感なく心に染み込むメロディーや歌詞、思い浮かべることができる情景、そして懐かしい気持ちにさせるところが、長く親しまれてきた歌謡曲・フォークソングの魅力なのです。

根強い人気の演歌

演歌を歌う老人
ゆったりとしたテンポが心地よい演歌。

加齢により、どうしても反応が遅れてきてしまいますが、高齢者の耳にも聞き取りやすくシンプルな演歌が好まれます。
哀しげな曲調のものが多いと感じる方もいるかもしれませんが、その情緒豊かな世界観を味わいつつ、昔を懐かしむこともできる演歌には、よりリラックス効果を高める力があるのでしょうか。

演歌では、

北国の春 千昌夫
おもいで酒 小林幸子
津軽海峡・冬景色 石川さゆり
人生いろいろ 島倉千代子
さざんかの宿 大川栄策
与作 北島三郎
雨の慕情 八代亜紀
大泉逸郎

など、今でも耳にする機会の多い人気曲が並びました。
でも私たち若い世代にとっては、演歌というと少し古いイメージですよね。
年月が経った今でも、高齢者は演歌が好きなのでしょうか?

そこで、身近な高齢者にアンケートをとってみると、他にも「石原裕次郎」や「五木ひろし」、「香西かおり」、「川中美幸」、「氷川きよし」など、どんどん出てくる演歌歌手の方々の名前に演歌人気の高さを感じました。

こちらは、演歌好きというよりはその歌手のファンであるというイメージですね。
やはり今でも演歌は高齢者の心にしっかりと根付いているようです。

音楽による多様な効果で楽しく過ごす

高齢者に人気の音楽は、いつの時代にも溶け込む魅力があるので、趣味を共有して楽しい時間を過ごすことができます。
高齢者とともに過ごすことは、遠からず介護にも関わることになります。
介護はする側もされる側も、お互いにストレスを抱えてしまうことが多いのです。
いつまでも仲良く暮らすためにも、是非、日常に音楽を採り入れてみてください。

音楽はストレスの解消だけでなく、病気・認知症の予防や治療にも効果があるとは驚きですよね。
ただし、上記でも挙げたように「嫌な思い出のある曲」や「嫌いな曲」など、良い気分になる音楽ばかりではないことも確かです。
中には音楽自体が好きではない方もいるでしょう。

その場合は、健康に良いといわれているからといって無理に聞かせることのないようにしてくださいね。
好きか嫌いか、好きでもどんな音楽を好むのかも含めてコミュニケーションはしっかりとっておくことをおすすめします。良くも悪くも、様子を見ながら進めていきましょう。
お互い楽しく、良い関係を築いていくことで介護の負担も少し軽減されます。

まだ要介護ではなくても、日ごろから語り合える環境を作りあげておくのも良いかもしれません。
音楽で刺激のある毎日を送り、いつまでも若々しくいてもらいたいですね。

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