人生の最後を価値ある日々として送れるように支援してくれる介護。
そこには、様々な心温まるエピソードが存在します。
そんな心温まる介護のエピソードを集めてみました。

「ゆっくりでいいよ。上手だね。」食事介助中のエピソード

要介護で特別養護老人ホームに入居している、100歳近くの母親をもつ女性。

母親が食事も水分も摂れずにいた時、施設職員さんの介助を見てとても驚いたそうです。
まず、口を開けるよう頭を撫で、両手で肩を抱いて、俯いてしまっている母親の顔をそっと覗いて名前を呼びました。

「僕の顔を見てごらん。少しだけお昼ごはん食べようか。ゆっくりでいいよ。」

その声に反応して顔を上げた母親に、「顔を見せてくれてありがとう。美味しそうだね。口を開けてくれる?」と言う職員さん。

少し口を開けた母親の口に、ほんの少しだけ食事を入れました。
「もぐもぐして。ゆっくりでいいよ。上手だね。」と繰り返します。

やっと飲み込んだ母親に、肩を抱いて額と額を合わせながら、「食べてくれてありがとう」と言いました。

後ろで見ていた女性は、自分が何もできないことを恥ずかしく思って、涙をこらえていたそうです。
その後も、母親が四苦八苦しながらも自力で食べられた時には、職員さん達の喜ぶ声が廊下中に響き渡っていました。

「10分でも、1時間でも、1日でも、長生きしていただくことが私達の仕事であり願いです。」
という施設長さんの言葉からも、入居者を家族のように接してくれる職員さんたちの気遣いが伝わってきて、女性は嬉しく思ったそうです。

「1人にして帰れませんでした。」震災時のエピソード

要介護5の夫を持つ女性が体験した出来事です。

その女性の夫は、20年近く病気で認知症もありました。
デイサービスから帰ってくる時間に合わせて着替え・トイレ・おやつを済ませ、ベッドに寝かせ、妻である女性の帰りを一緒に待っていてくれるホームヘルパーさんがいました。
とてもよくしてくれて、夫もそのヘルパーさんのことを信頼していたそうです。

そんな時に起こった、東日本大震災。
携帯電話も通じず、停電で信号機も動かない状況でした。
外出していた女性は、知っている限りの裏道を探し、通常なら車で20分くらいの場所から2時間半もかかって帰宅しました。

夫がどうしているか気がかりでしたが、家にたどり着くと、部屋は真っ暗。
不安を胸に中へ入ると、ヘルパーさんが夫に付き添ってくれていたのです。
1人にして帰れなかった、と言って側にいてくれたそうです。

「自分を責めないで」働きながらの介護に疲れた家族

自宅介護
仕事をしながら、入院している母親の介護と、要介護4の父親を自宅介護している女性。

心身ともに疲労が極限状態でした。
献身的な介護のかいがあり、寝たきりだった父親の病状は軽くなっていきました。しかし、認知症が進んでいったのです。

ある日帰宅すると、部屋中に異臭が充満していました。
オシメを外し、片手に自分の便を持って途方にくれている父親がいました。
またある時は、自分の小便でできた水たまりで、まるで小さな子供が水遊びをするかのように、ぴちゃぴちゃと足踏みをしていたのです。

女性は疲れた身体を引きずるようにしながら後片付けをしました。
父親も一緒になって片付けてくれようとしたのですが、綺麗にしたばかりのところをまた汚してしまうだけでした。
思わず「静かに座ってて!」と声を荒げてしまいました。

そんな自分に対して嫌悪感を抱く女性。
父親も頑張っているのがわかっているだけに、辛かったそうです。
日々の介護に悩んで疲れ、自分をダメ人間だと攻めていた時に、ケアマネジャーの言葉が彼女を癒し、勇気づけてくれました。

「あなたはよく頑張っている。だから、自分を責めないで!」
「介護する人が笑顔でいることが大切なんです。」

父親の介護に行き詰まり、暗い顔をしていた女性をケアマネジャーは絶えず励まし続けてくれたそうです。

先が見えない介護。介護疲れ故の痛ましい事件も起きています。
しかし、こうして介護する人・される人、そしてその家族との間の信頼関係から生まれた、心温まるエピソードもたくさんあるのです。

──────────────────────────────────
介護リフォームマガジン
https://www.kaigo-reform.com
──────────────────────────────────

運営会社 株式会社オールシステム

Facebook https://www.facebook.com/allsystem.web
Twitter  https://twitter.com/alls_mag

〒460-0003
愛知県名古屋市中区錦1-17-13 名興ビルディング7F
TEL 052-220-5250 / FAX 052-220-5285
URL https://www.allsystem.jp/