廃用症候群は、怪我や病気の療養中などに長期間安静にしていることによって様々な症状を引き起こします。
安静にし続けることで筋力の低下などが起こる症状を総称し、「生活不活発病」と呼ぶこともあります。
では、この廃用症候群とはどのような病気なのでしょうか?
今回は、高齢者が陥りやすいといわれる廃用症候群の症状や原因、治療法についてまとめてみました。

廃用症候群の症状は?

廃用症候群は一つの症状に連鎖するように別の症状も引き起こされます。
以下の症状どれか一つに当てはまってしまうと、どんどん次の症状が出てしまうので早めの対処が肝心です。

筋力の低下、筋肉の萎縮

安静にしていることにより、筋肉量が低下します。
それによって体力が衰え、動くのを嫌うようになり廃用症候群を発症するケースが多いのです。

関節の拘縮、廃用性骨萎縮

同じ体勢で過ごす事で関節にも影響します。
身体を動かさなくなるので、凝り固まった関節に痛みが生じ、さらに動くことを嫌うという悪循環になります。

血液への影響

廃用症候群になると血漿(けっしょう)が失われると言われています。
血漿は血液中の液体で、血漿が減少することにより白血球・赤血球・血小板の濃度が上がりドロドロ血になってしまいます。
そのため血栓ができ血栓塞栓症のリスクが高まるのです。

血液量自体も減少してしまい、立ちくらみのような症状・起立性低血圧が起こります。
勢いよく起き上り、低血圧を起こしてしまうと転倒の危険もあります。

消化機能の障害

消化機能が衰える事により、便秘や食欲の減退、摂食障害や逆流性食道炎が起こりやすくなります。
嚥下障害が起こり、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあります。

自律神経の障害

自律神経の低下により低体温症、尿失禁、便失禁の症状を引き起こす可能性があります。

精神の障害

やる気が起きない・食欲の減退・不眠などの鬱症状、せん妄、見当識障害、圧迫性抹消神経障害、仮性痴呆、さらに認知症の悪化を引き起こす可能性があります。

ほかにも尿路結石や尿路感染症、ずっと同じ体勢でいることにより褥瘡(床ずれ)が起こったり、脱水症状を引き起こす事もあります。

最悪の場合、寝たきりに

これらの症状が重なると、ベッドや布団から起き上がることも難しくなってきます。
本来ならリハビリをすれば改善される確率の高い状態でも、廃用症候群によって動くことを嫌がり、新たな症状を引き起こすという悪循環に陥り、最終的には寝たきりになってしまう事もあります。
廃用症候群は、複数の症状が発症するケースが多く、寝たきりになってしまうと回復が難しくなりますので、後半でご紹介する予防策に早めに取り組む事をおすすめします。

高齢者が陥りやすいってほんと?

廃用症候群は高齢者だけでなく若年者にも発症します。
伝染病などでしばらく安静にしていた後など、学校や会社復帰しようとしても身体が思うように動かないことってありますよね。
こんな事でも廃用症候群のきっかけになることもあるんです。
ですが高齢者の場合は寝たきりでも仕方ないと捉えられてしまったり、怪我や病気での入院が多い事もあって、周りの人も気付かず廃用症候群に陥ってしまうケースも多いのです。

廃用症候群に効果が大きな4つの予防方法

廃用症候群は上記のように、起こってしまうと治療がとても難しいのです。
常に予防を意識して、廃用症候群のきっかけもつくらないことが重要です。

1・できるだけ筋肉を動かす

骨折や怪我、病気などで安静が必要なときでも数時間に1回は寝ている体勢から起き上がる・座る、など筋肉を動かす対策をとるようにしましょう。
動ける範囲の怪我であれば、無理をしない程度に、積極的に活動することを心がけてください。

2・状態によってはマッサージも有効

ご本人自身で動くことが難しい時は、ご家族の誰かが足首を回してあげたり、むくみを取るようにマッサージしてあげるのも良いですね。
ただし、骨折や怪我の治療中は患部に当たってしまうと危険ですのでまずはかかりつけ医に相談しましょう。

3・専門家の手も借りて

どうしても病気や怪我の治療が長引きそう、安静にしている期間が長く続いてしまいそう…という時は病院のリハビリテーションも活用しましょう。
医療スタッフに相談し、できることは日課に取り入れてみても良いですね。

4・精神面のフォローも忘れずに

入院中や自宅療養中は、どうしても気分が沈んでしまいますよね。
ご家族の方やご友人が面会に行ったり、顔を見せて上げるだけでもリラックスされて、精神面で良い効果があります。
廃用症候群は精神面への悪影響が要因だったりもするので、リラックスすることも予防に繫がります。

廃用症候群になったら早めにリハビリを!

高齢者
誰にでも発症する可能性があるのが廃用症候群。
では、廃用症候群になってしまったらどうすれば良いのでしょうか?

進行は阻止できるのか?

廃用症候群は一回起こってしまうことでさらに動くことが嫌になり、そして別の症状を招いてしまうので阻止するのは難しいでしょう。
しかし放置してしまうとどんどん悪化してしまいます。
廃用症候群に気付いたら、早いうちに病院のリハビリを利用するなどの対策をとってください。
「しばらくそっとしてあげて」なんて言っているうちにどんどん進行は進んでしまいます。

「私(この人)に限って」の思いは手放しましょう

今は比較的元気に行動されている方でも、廃用症候群の危険はあります。
悲しいですが身体は常に老化が進んでいて、昔と同じような動きをとっているつもりでも体が動かず転倒してしまうこともあります。

高齢者の場合、怪我をすると完治に時間がかかってしまうので必然的に入院や安静にすることも増える可能性が高いのです。
すぐに元の生活に戻れば良いのですが、3日以上安静にしてしまうと廃用症候群のリスクが高くなります。
さらに、普段から若々しく元気な方は怪我をしてしまったときのショックも大きく、ふさぎ込んでしまうこともよくあります。
精神的に落ち込んでしまう事により廃用症候群が発症することも多いので、よく様子を見てあげてください。

廃用症候群は怖くない!

廃用症候群ににならないために重要なのは、なるべく体を動かすことです。
普段からできることは自分でする、動けるときは家の中だけでもなるべく歩いてみるようにするという意識が大切なのです。
ご家族や介護される方も介護しすぎてしまわないように、ゆっくりでも良いのでできることはご本人がするのを見守るようにしましょう。

「廃用症候群はこわい」と思ってしまいます。
ですが、なるべく動く事で予防できますので、神経質になりすぎることはありません。
認知症の方も、座った状態で上半身の体操をするなど筋肉に刺激を与える事によりリスクを減らすことはできます。
はじめは億劫でも、周りの皆さんの「ご家族を大切に思う」気持ちは伝わるはずです。
お互いストレスを感じないように、ゆったりとした気持ちで過ごしたいですね。

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