「介護」と「介助」、どちらも介護の世界で使われている言葉です。それゆえ、同じ意味に捉えられがちな両者ですが、実は微妙に意味合いが違います。

「介護」と「介助」の違いについて、大きく三つに分けて解説していきます。

「介護」の持つ意味は広く、「介助」の持つ意味は狭い

「介護」の定義は、1988年、日本社会事業学校連盟・全国社会福祉協議会施設協議会連合会により
「老齢や身体、または精神上の障害により、日常生活を営むことが困難な状態にある個人が社会的・身体的・精神的に自立した生活を送れるようになるため、健康な生活の確保と成長、発達を目指し、利用者が満足できる生活の自立をはかること」
とされています。

「介護」は介護業界で行われる、すべての事柄を意味していると言っても過言ではありません。支援だけでなく、相談援助なども含まれています。

一方、「介助」は、一般的に心身の障害を持っている人や高齢者に対し、日常生活に必要な行動(例えば、食事や排せつ、入浴、移動、着替えなど)をサポートすることを指します。

つまり、「介助」は動作そのものを指す言葉であり、「介護の中の一つ」に過ぎない、というわけです。

「介護」は自立を計ること、「介助」は手助けすること

介護と介助
介護と介助では、言葉自身が持つ意味の広さが違うだけでなく、行う目的にも違いがあります。
「介護」は対象者の社会的な自立を目的として行われているものです。

しかし、「介助」は動作そのものを指しますから、対象者の手助けをすることが目的で、自立を計る目的とは別のところに重点を置いています。また、介助は援助の度合いによって、「自立・一部介助・全介助」と段階的に評価が分かれています。

とはいうものの、「介助」も介護の一つの要素なので、直接的な目的は手助けであっても、最終的な目的は「対象者の自立」であることは言うまでもないでしょう。

「介護」は総合的な支援、「介助」は身体的な支援

介助は食事や排せつ、入浴、移動、着替えなど、日常生活の行動をサポートする行為のことですから、「身体的な支援」という意味合いが大きいといわれています。

サービス介助士の資格には、「介助」という言葉が含まれています。同資格取得者が行うのは、障がい者の手引きをしたり、車いすの操作を行ったり、移乗をサポートしたりと、要介護支援者の行動を支援することです。

介護は介助のような身体的な支援の他に、対象者本人、そして家族の相談に乗りアドバイスをするといった、精神面の支援も含まれています。他にも、食事の栄養管理などを行うこともあります。介護は総合的な支援である必要がありますから、その意味はますます多様化していくと思われます。

介護支援専門員の資格には、「介護」という言葉が含まれています。同資格者は、要介護支援者やその家族からの相談を受け、ケアプランを作成するなどの業務を行います。
実際に行われている支援の内容を比べてみれば、二つの言葉の違いが明確に見えてきますよね。

「介護」と「介助」、同じ言葉のように見えますが、実際は幅広い意味合いを含みますし、違いもあるようです。

高齢化が進み、超高齢化社会になると考えられている今、四人の若者が一人のお年寄りを支える時代となりました。介護や介助は他人事ではなくなってきています。
将来的には、わたしたちの両親にも関わってくることですね。

福祉の業界で仕事をしていきたいという方だけでなく、現代に生きるすべての人が理解しておくべき言葉として、2つの違いを覚えておきましょう。

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