1.間取りの大幅変更が可能であれば、回遊型でアクセスが便利に

間取りを大幅に変えることができるのであれば、なるべく廊下をなくし、各部屋が繋がっている回遊型の間取りがおすすめです。

例えば、玄関ホールのドアを開けるとLDKがあり、LDKの一角を寝室に、もしくはLDKのドアを開けると寝室、寝室の隣に浴室・トイレ、そして玄関ホール…といった間取りです。介護が必要になってくると、廊下を通っての移動も大変ですし、移動をすることも面倒に感じて引きこもりがちになってしまうからです。

介護する人にとっても同様です。廊下をなくすことによってその分部屋が広くなるというメリットもあります。

2.リビングを寝室にすると移動がスムーズ

寝室
戸建ての住宅では2階を寝室にされている方が多いですが、介護する人とされる人両方にとって寝室は1階にあった方が便利でしょう。
トイレ・浴室・キッチンなどの水周りは1階にあることが多く、1階を寝室にすることによって各部屋への移動もスムーズになります。

2階に寝室がある場合は、ベッドをリビングに移動し、来客時にベッドが見えることが気になる場合は可動式の間仕切りを利用するのもひとつの方法です。
寝室だった2階の部屋は、普段使わないものの収納や、毎日は利用しない趣味の部屋、ゲストルームなどに変えると有効に使えます。

3.キッチンは昔ながらの壁付けタイプがおすすめ

現在は作業をしながらでもダイニングやリビングが見える対面式のカウンターキッチンが人気ですが、介護のある生活を考える場合壁付けタイプのI型タイプのキッチンもおすすめです。
カウンターキッチンだと、例えば食事後にお皿を下げるのにカウンター越しであったり、カウンターを回り込んで行く必要がありますが、壁付けタイプですと、ダイニングテーブルとの距離を近くすることができ、片付けや配膳時の移動もスムーズに行うことができます。

現在は介護用キッチンや車いす・高齢者配慮キッチンと呼ばれる座ったまま作業のできるキッチンも販売されており、これらの多くはシンク・調理台・焼き場が一列に並んでいるI型なので、作業も横への移動だけで済むので便利です。

クッションフロアで掃除もラクラク

キッチンの床は、マットを敷くと段差ができてつまづきやすくなります。かといって、マットをなくすと汚れが気になったりします。そこで、キッチンの床材にはクッションフロアがおすすめです。

クッションフロアと聞くと少し安っぽいイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、現在では各メーカーから多種多様なクッションフロアが販売されており、フローリングや大理石そっくりなものもあります。クッションフロアですと、クッション性があり安全ですし、何かをこぼしてしまった時も簡単に拭き取れるのでお掃除も簡単です。

4.トイレは二人分のスペースが理想

介護用トイレ
トイレは1日に何度も利用する場所ですが、高齢になってくるとその回数は多くなる傾向にあります。また、狭いスペースではありますが、立つ、ズボンを下げる、しゃがむ、お尻を拭く、立ち上がる…など、意外と動作の多い場所でもあります。車いすを利用するかどうかなど介護を必要とする人の状態にもよりますが、動きやすさや介助のしやすさを考えても、ある程度のスペースは必要です。

例えば便器の前方のスペースが50cm以上あれば立ち座りすることが楽になりますし、便器の後方のスペースが20cm以上あれば後方からの介助をすることが楽になります。このように、要介護者だけでなく、介助する人を含めた二人分のスペースの確保が理想的です。

現在のトイレのスペースを拡げることが難しい場合は、押入れにトイレを作ったり、寝室などにポータブルトイレを設置するという方法もあります。

便器は多機能であるだけグンと楽に

介護のある生活において、便器は洋式が基本です。便器が和式の場合はまずは洋式に変えることからはじめましょう。元気な人には必要のないお尻の乾燥機能も、介護の必要な人にとってはトイレットペーパーを引っ張ってちぎり、手を後ろにまわす動作がなくなるだけでもグンと楽に感じます。

少しやりすぎに感じるかもしれないお掃除機能も、あれば動作がひとつ省けるので、介護される人だけでなく介護する人にとっても嬉しいものです。

5.事故が起こりやすい浴室はとにかく安全第一

浴室で気を付けたいのは、急激な温度変化によって身体に負担がかかり、脳出血や心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」です。日本法医学会の調査では、浴室での死亡は11月頃から増加し、12月から1月にかけてピークを迎えるということです。このことからも冬場の浴室や脱衣所の温度管理には特に注意が必要です。また、浴室では転倒ややけどの危険性もありますので、とにかく安全第一を考えましょう。

温度差をなくして快適に!ヒートショック対策

脱衣所と浴室の温度差ができるだけ少なくなるように、浴室には浴室暖房、脱衣所には暖房器具を設置しましょう。浴室暖房には浴室乾燥機能がついていることがほとんどですので、洗濯物を乾かすこともできますし、カビの発生防止にもなって便利です。

脱衣所の暖房器具は、据え置き型のヒーターですと、脱衣時などに触れてしまいやけどの危険もあるので、壁面取り付けタイプの暖房機が安全です。涼風が出るタイプもあるので、夏場のお風呂上がりも快適です。
寝室の一角に浴室を設置することができれば、温度差も少なくなり湯冷めすることなく布団に入ることもできます。

床はフラットで凹凸のあるものを

浴室と脱衣所の境目には構造上段差があることが少なくありませんが、できればフラットにした方が良いでしょう。脱衣所へ水が流れないかが心配になるかもしれませんが、ユニットバスの場合はドアの敷居部分に水抜きの細工がされていることが多いので、フラットでもほとんど問題はないでしょう。

また、現在ではユニットバスが多いですが、古い住宅ではタイルなどでできた在来浴室も少なくありません。タイルですと表面がツルツルしているため滑りやすい上、足を付けた時の冷たさも気になります。最近では細かい溝や凹凸のある樹脂製の床材が多く販売されていて、これらはクッション性があって冷たさも感じにくいという特性があります。

凹凸が多いと汚れが残りやすくなりがちですが、水が細かい溝を流れていくような排水性の良い製品もありますので、そうしたメンテナンスのしやすさもチェックしておくと良いでしょう。

6.玄関をバリアフリーにしてお出かけも楽しく

バリアフリー玄関
玄関まわりに段差がある住宅は多く、そのせいで要介護者は出かけるのが億劫になってしまいがちです。ここは玄関をバリアフリーにすることで、お出かけを楽しめるようにしておきたいものです。

段差をなくすか、あえて残すか

玄関のバリアフリー化というとスロープを付けるなど段差をなくすことを連想される方も多いでしょう。スロープを付ければ車いす対応もできますし、つまずくことも減りますが、手すりだけを付けてできるだけ足を使うのもひとつの方法です。その場合は段の高さと踏み面は均等にして、リズム良く昇り降りできるようにすることが転倒防止のポイントです。

意外と多い人の出入りにインターホンが活躍

在宅介護ではケアマネージャーやヘルパーなど意外と多くの人が家を出入りします。外出することが大変になってくると通販や宅配の利用も増えることでしょう。使いやすい位置にインターホンを設置すれば、急な来客でも慌てて玄関まで移動する必要もなくなるので大変便利です。昨今高齢者を狙った悪質な訪問販売や勧誘もあるので、モニター付きのものにしておくと相手の顔も見えて安心です。

在宅介護において住まいが介護しやすい場所になれば、介護する人もされる人も、心身共に余裕が生まれることでしょう。大切な人と長く過ごせる在宅介護だからこそ、自分たちにピッタリの住まいで笑顔に囲まれて暮らしたいですね。

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